お口の中のデキモノ
- Q口内炎ができてからどれくらいで受診すれば良いですか?
- A通常の口内炎であれば1〜2週間で自然に治ります。しかし、2週間以上治らない場合、大きくなっている、痛みが強い、出血しやすいなどの症状がある場合は、すぐに受診してください。
- Qデキモノの診察に保険は適用されますか?
- Aはい、デキモノの診察、診断、検査(一部の特殊な病理検査を除く)、および良性病変に対するレーザー治療などは、基本的に保険診療の範囲内で対応可能です。
- Q口腔がんの検査はどのようなものですか?
- Aまずは視診・触診を行い、必要に応じて歯科用CTやマイクロスコープで詳しく観察します。もし悪性の疑いがある場合は、病理検査(デキモノの一部を採取して詳しく調べる検査)を行います。当院では、専門機関との連携もスムーズに行っています。
- Q小さなデキモノでも見てもらう必要はありますか?
- Aはい、どんなに小さなデキモノでも、気になる場合はお気軽にご相談ください。早期発見・早期治療が非常に重要です。自己判断せずに専門医にご相談いただくことを強くお勧めします。
- Q痛みがないデキモノでも受診した方が良いですか?
- Aはい、痛みがないからといって放置するのは危険です。特に口腔がんの場合、初期には痛みを伴わないことが多いため、見た目の変化に気づいたらすぐに受診することが大切です。

ある日突然、お口の中に「デキモノ」を見つけて、不安になった経験はありませんか?
「口内炎かな?」
「いつものことだろう」
と軽く考えてしまいがちですが、中には注意が必要なものも潜んでいます。
お口の中のデキモノは、見た目が似ていても、その種類は実に様々です。
単なる口内炎やできものの場合もあれば、ごく稀に、口腔がんのような重篤な病気が隠されていることもあります。
私自身、長年口腔外科医として多くの症例を経験してきました。
その中で最も痛感したのが、「お口の中のデキモノ」に対する正確な「診査診断」の重要性です。
誤った診断に基づいて治療を進めてしまうと、症状を悪化させてしまったり、大切な治療の機会を逃してしまったりするリスクさえあります。
ひろ歯科では、私の口腔外科医としての豊富な経験と、最先端の診断機器を駆使し、患者さまのお口のデキモノ一つひとつに真摯に向き合い、「見逃さない」「誤らない」精密な診断を行っています。
そして、良性のデキモノには、痛みが少なく治癒を促進するレーザー治療を、もしも悪性の疑いがある場合には、迅速に専門機関と連携し、皆さまの健康と命を守るための最善の道を提示いたします。
「デキモノ」の正体は?〜見た目ではわからない多様な種類〜
お口の中にできるデキモノは、その原因や性質によって多岐にわたります。
主なものをいくつかご紹介しましょう。
よくある「良性」のデキモノ

口内炎
最も一般的なデキモノ。頬の内側や唇、舌などにできやすく、白っぽく潰瘍状になることが多いです。
ストレスや疲れ、栄養不足、口腔内の外傷などが原因で発生します。通常は1~2週間で自然に治癒します。
アフタ性口内炎
口内炎の代表的なタイプで、中心が白く、周囲が赤く炎症を起こしている潰瘍。
痛みを伴います。
ヘルペス性口内炎
ウイルス感染によるもので、小さな水ぶくれが集まってでき、破れるとただれ、強い痛みを伴います。
カンジダ症
カビの一種であるカンジダ菌が増殖して起こる感染症。
白いコケのようなものが舌や頬の粘膜に付着し、剥がすと赤くなることが多いです。
高齢者や免疫力が低下している方に多く見られます。
粘液嚢胞(ねんえきのうほう)
唇や舌、頬の粘膜などにできる、中に粘液が溜まった袋状のデキモノ。
プヨプヨとした感触で、破れても再発することが多いです。
唇を噛んだり、唾液腺が詰まったりすることが原因で発生します。
線維腫(せんいしゅ)
頬の内側や舌などにできる、比較的硬いしこりのようなデキモノ。
慢性的な刺激(噛み癖など)が原因でできることが多く、痛みは伴いません。
乳頭腫(にゅうとうしゅ)
舌や口蓋(口の天井)などにできる、カリフラワー状やイボ状のデキモノ。
ウイルス感染などが原因で発生することがあります。
骨隆起(こつりゅうき)
顎の骨の一部が盛り上がってできる硬いコブ。
通常は病的なものではなく、遺伝や噛む力の影響でできることが多いです。
痛みはほとんどありません。
良性腫瘍
上記以外にも、様々な良性の腫瘍がお口の中にできることがあります。
これらは癌ではないため、切除すれば問題ありません。
見逃してはいけない「悪性」のデキモノ(口腔がん)
口腔がんは、初期の段階では口内炎や一般的なデキモノと見分けがつきにくいことがあります。
しかし、放置すると急速に進行し、命に関わることもあります。早期発見・早期治療が非常に重要です。
口腔がんの可能性があるデキモノの特徴

2週間以上治らない口内炎
通常の口内炎は1~2週間で治りますが、それ以上長引く場合は要注意です。
硬いしこりや潰瘍
触ると硬く、周りの組織と癒着しているように感じる。痛みがないこともあります。
表面が白っぽい・赤っぽい斑点
白い斑点(白板症:はくばんしょう)や赤い斑点(紅板症:こうばんしょう)は、がん化する可能性のある「前がん病変」であることが多いです。
ただれや出血
自然にただれたり、少し触れただけで出血したりする場合。
首のリンパ節の腫れ
口腔がんが進行すると、首のリンパ節に転移し、腫れとして現れることがあります。
原因不明の痛みやしびれ
舌や顎に原因不明の痛みやしびれがある場合も注意が必要です。
口腔外科出身の院長が「診断能力」にこだわる理由

私、荒川義浩が口腔外科出身であることをご紹介する理由は、この「お口のデキモノ」の診断において、その経験が何よりも重要だからです。
口腔外科医は、通常の歯科治療だけでなく、顎の骨の疾患、口腔内の腫瘍(良性・悪性)、外傷、神経疾患など、より広範で専門的な知識と診断能力が求められます。特に、生命に関わる可能性のある口腔がんの早期発見は、口腔外科医の重要な使命の一つです。
「誤診」が招く悲劇を防ぐ

口内炎にはレーザーが効くが、口腔がんだった場合はレーザーは禁忌という診断の重要性は計り知れません。
もし、悪性のデキモノを口内炎と誤診し、レーザー治療を行ってしまえば、その刺激によってがんの進行を早めてしまったり、適切な治療開始が遅れてしまったりする恐れがあります。
患者さまにとって、これは取り返しのつかない事態を招きかねません。
このような悲劇を防ぐためには、豊富な臨床経験と、鑑別診断(似たような症状の中から正しい病気を特定すること)の知識、そして「もしかしたら」という危機意識を持った「高い診断能力」が不可欠なのです。
私は、これまで数多くのデキモノを診てきた経験から、その診断能力の高さに絶対的な自信を持っています。
しかし、過信することなく、常に最新の知見を取り入れ、慎重かつ客観的な視点で診断に臨むことを徹底しています。
ひろ歯科の「お口のデキモノ」精密診断と治療
ひろ歯科では、患者さまの不安を解消し、適切な治療を迅速に行うために、以下のステップで「お口のデキモノ」に対する診断と治療を進めます。
1. 丁寧な問診と視診・触診
まず、患者さまからデキモノができた経緯、症状(痛み、大きさの変化など)、全身の病歴などを詳しくお伺いします。 その後、口腔内を肉眼で注意深く観察し、触診によって硬さや可動性、リンパ節の腫れなどを確認します。この丁寧なプロセスが、正確な診断の第一歩です。
2. 歯科用CTによる精密検査

肉眼や触診だけでは判断が難しい場合や、悪性の疑いがある場合には、歯科用CTを用いて、デキモノの内部構造や、周囲の骨・神経との位置関係を三次元(立体)的に高精細に確認します。
口腔外科出身である私が、CT画像をあらゆる角度から詳細に分析し、良性・悪性の鑑別、病変の広がりなどを正確に診断します。
特に、見えない骨の中への浸潤など、従来のレントゲンでは判断が難しかった情報もCTによって可視化できるため、より確実な診断が可能です。
3. マイクロスコープによる詳細観察と記録

当院では、歯科用マイクロスコープ(歯科顕微鏡)を導入しており、デキモノの表面の微細な変化や、周囲の血管の状態などを最大20倍以上に拡大して鮮明に観察することができます。
これにより、肉眼では見落としてしまうようなごく初期の変化も捉えることが可能です。
また、マイクロスコープは治療中の全プロセスを動画として記録できます。
これは、診断の記録としても非常に優秀であり、もし経過観察が必要な場合や、専門機関へ紹介する際に、客観的で詳細な情報を提供することができます。
4. 良性のデキモノに対する「レーザー治療」

検査の結果、良性のデキモノ(口内炎、粘液嚢胞の一部など)と診断された場合は、当院で導入している歯科用レーザーを用いた治療を積極的に行います。
口内炎などであれば、レーザー照射により、痛みが和らぎ、治癒を促進することが期待できます。
小さな粘液嚢胞であれば、レーザーで切除することも可能です。
痛み・出血が少ない
メスによる切開に比べて、レーザーは痛みや出血が非常に少なく、患者さまの負担を軽減できます。
殺菌・治癒促進効果
レーザーには優れた殺菌作用があり、炎症を抑え、デキモノの治癒を促進する効果が期待できます。
ダウンタイムが短い
術後の腫れや痛みが少なく、回復が早いため、日常生活への影響を最小限に抑えられます。
5. 悪性の疑いがある場合の「病理検査」と「専門機関との連携」

もし、診査診断の結果、悪性のデキモノ(口腔がんなど)の疑いがある場合には、私たちは迷わず「病理検査」を推奨し、連携している大学病院やがん専門病院などの専門機関へ迅速にご紹介いたします。
近隣の病院との強い信頼関係があるため、ご紹介が必要な場合でも、迅速かつスムーズに専門医へ繋ぐことが可能です。紹介後も、紹介先の医療機関と密に情報交換を行い、患者さまの治療状況を把握することで、切れ目のない医療を提供します。
「町医者」として、患者さまのファーストコンタクトの窓口となり、必要であれば責任を持って専門機関へと繋ぐ。
これが、私たちが考える「町医者として、頼れる存在でありたい」という信念です。
病理検査の重要性
病理検査とは、デキモノの一部を採取し、顕微鏡で組織の状態を詳しく調べることで、それが良性か悪性かを確定診断するための最も確実な検査です。
私たちは、患者さまに不安を与えないよう、丁寧にご説明し、この検査の必要性をご理解いただきます。
よくあるご質問